学校であった怖い話
>一話目(風間望)
>B5

いっ……いい!!
僕は、思わず快感に酔いしれた。

「……坂上君?」
風間さんが言った。
「ど、ど、どうしたの?そんな顔して?
もしかして、気持ちいいのかい?
……やめてくれよ。
怖いよ、君。
僕の話より、君の態度の方が怖いね」
さんざんな言われようだ。

ふと周りを見ると、みんなが嫌なものでも見るような目で僕を見ていた。
しまった。
このままではいけない。
こんなことでは、取材にならない。
僕は慌ててとりつくろった。

「きっと、霊のしわざです。
僕は確かに今、気持ちよかった。
でもそれは、ここにやって来た霊が僕に感じさせたことなのだと思います。

考えてもみてください。
もし風間さんが僕の鼻の穴に指を入れたままで、ぼくがそれをずっと喜んでいたら……。
僕は鼻の中に傷を作り、そこからバイ菌が入って病気になってしまったかもしれません。

これは、霊の策略だと思います。
皆さん気を付けてください。
この学校には、
本当に霊がいるようですから……」
みんなが複雑な顔をしている。
自分で言うのもなんだが、今のが霊のしわざではないと、誰が断言できるだろう?

僕は確かに気持ちよかった。
でも、おかしいじゃないか。
鼻の穴に指を突っ込まれて、気持ちいいと感じるなんて……。
そうだ。きっと霊のしわざに違いない。
僕は余計なことを突っ込まれる前に、次の話を聞くことにした。
「さあ、次の話を始めましょう。
次は、どなたですか?」


       (二話目に続く)