学校であった怖い話
>一話目(岩下明美)
>G8

「そうだね。
友達になろう。
でも、もっと早く友達になっていればよかった。
死んでしまったら、
死んでしまったら、何もできないんだよ。

学校に内山君の席はなくなるし、クラスの行事にも参加できない。
好きな子の話もできないし、学年が上がってみんなが卒業しても、内山君は今のままなんだよ……」

僕は今の気持ちを正直に話した。
彼女の言っていることは本当なのだ。
内山君は、もうこの世の人ではないのだ。
どうしてこんなことになる前に、何とかできなかったんだろう。
内山君が又、モゴモゴとつぶやいた。

今度は、彼の声が直接聞こえた。
僕が彼と友達になったからだろうか。
「坂上君、友達だよね。
そしたら、僕のいる世界に来てくれるよね?」
何だって?
………僕のいる世界………?

「今日はまだ連れて行かないよ。この世に別れを告げる前に、君にも色々、やりたいことがあるだろうから。
そうだね、君の次の誕生日に迎えに来るよ。

どうしても逝きたくないなら、代わりに3人の人を紹介してよ。
僕の友達になってくれそうな人をね。
姉さんともそう約束してるんだ……」

………姉さん?
「岩下明美は、僕の姉さんだよ。親が何年か前離婚して、別々の姓になってるけどね……」
そうか
そういうことだったのか……!

内山君の姿が薄くかすれていく。
彼は、僕の席に座ったままかき消えた。
部室内のみんなは黙っている。
内山君の死という事実を目の当たりにし、厳粛な雰囲気が漂っている。

この沈黙を破ったのは、岩下明美の言葉だった。
「さあ、私の話はこれで終わり。次は、誰の番?」


       (二話目に続く)