学校であった怖い話
>一話目(福沢玲子)
>G6

僕は、迷わず答えた。
「ぜ……ぜひ!」
その途端、みんながいっせいに軽蔑のまなざしを向けてきた。
まずい……。
不謹慎なヤツだと思われただろうか。

「あはは……!
坂上君て、何考えてるの?
スカートはいてなんて、冗談に決まってるでしょ」
福沢さんが、笑い出した。
しかし皆は、押し黙って僕を見ている。
おこっているようだった。
「きゃははは……」

福沢さんのスカートは、バサバサとひらめいていた。
身をよじって笑っている為か、彼女のいうように、血の儀式の紙のせいか。
完全に、
場はしらけてしまっている。
とくかくこれでは取材にならない。
次の話を聞くことにしよう。

「それでは、次の話は……」
ぼくが切り出すと、福沢さんは笑うのを止めて、おとなしくこちらを見た。
その時、彼女のスカートが……。

バサバサと揺れた。
確かに揺れた。
命をふきこまれたスカートが、僕の発言に怒っているのだろうか……。
福沢さんは、スカートが動いたことに気付いているのかいないのか。
わずかに笑いながら、こう言った。

「早苗ちゃんの話、どうだった?
すごいよね。
わけのわからない儀式なんか、しちゃうんだもんね。
……じゃ、私の話は、これで終わり。
次は、誰の番?」


       (二話目に続く)