学校であった怖い話
>一話目(福沢玲子)
>H6

「な、何を言ってるんですか」
僕は照れてしまった。
……いや、照れてる場合じゃない。
彼女のいうことが本当だとしたらスカートのポケットにはその呪わしい紙切れが入っているということだ。
とてもじゃないが、自分の身をもって確かめる気にはなれない。

早坂さんという人は、
「ベッドが話かけてきた」
と言ったそうだが、それが本当だという保証はどこにもないのだ。
『血の儀式』とは、
この学校にいる何かが……。
そう、例えば悪霊が、物に憑依して動く為の呪法かもしれない。

そして、その儀式の紙が今ここにあるのだ。
彼女のポケットに……。

「そうだよね。
スカートなんて、はきたくないよね。
ま、私の気のせいだと思う。
あの紙は、早苗ちゃんが使わなきゃ効果がなさそうだし。
机が動いたのも、
気のせいだよねえ。

でもこの紙、ほんとにどうしようかなあ。
ずっと待ってるのもやだしなあ」
彼女は、ため息をついてから言った。
「さあ、私の話はこれで終わり。
次は、誰の番……?」


       (二話目に続く)