学校であった怖い話
>二話目(新堂誠)
>B7

ホントーに、馬鹿なんだよな。
佐久間ってさ。
やめときゃいいのに、思わず開けちまったんだよ。
怖いもの見たさってやつか。

そこには、やっぱりばあさんがたたずんでいたんだよ。
「ごめんなさい、ごめんなさい、飴玉全部食べちゃったんだ、許して下さい。なんでもします!!」
土下座して一生懸命謝ったんだ。
「そうかい。舐めてしまったもんは、仕方がないしのう。今回だけは許してやろう」

佐久間は、飛び上がって喜んだよ。
「ただし、条件がある。わしも、もう年じゃ。身体がいうことをきかんでの、飴玉作りの手伝いをしてくれんか?」
そんなことで、許してもらえるならおやすいご用と、手伝うことを承知した。

「ところで一体、何をすればいいんですか?」
「お前さんも、食べてわかったと思うんじゃが、とてもおいしかったじゃろ? それもそのはず、原料が違うんじゃ……。なんせ、本当の目玉をつかっとるからのう。飴玉というくらいじゃからの。ひっひっひ……」

「げっ!! あっ、あれは人の目玉だったのか!? 俺は、目玉をくっちまったのか!!」
気が遠くなりそうだ。
「だからの、お前さんに原料を取ってきて欲しいんじゃ。これから、ずーっとな」

それから、佐久間の姿を見た者はいないそうだ。
それとな、ばあさんの飴が舐めたいなんて、思っても、口に出してもいけないぞ。その時から、一ヶ月以内に佐久間がお前の目玉をくり抜きにやって来るからな。

言わないのは簡単だが、思わないのって難しいだろ。思わないようにって思うと、よけいに考えちまうんだよな。
気が変になりそうだろ。
がんばって耐えることだな。
あ、そういえば、お前さっき食べたいっていっちまったんだよな。

でもよ、佐久間が来てしまったら、助かる方法が一つだけあるんだ。
佐久間が、
「お前の目玉をよこせ」
って、言ってくるから、
目をつぶって

「私も、ばあさんから飴玉を三つ取りました。だから、あなたにあげる二つの目玉はありません」
と言え。
間違うなよ……。
……俺の話は終わりだ。
次の奴に話してもらおうぜ。


       (三話目に続く)