学校であった怖い話
>二話目(新堂誠)
>G5

「別に、これといって何かしたわけじゃないのよ。気がついたら、こうなっていたのね」
「そうかしら、……」
今までさんざん、直接ではないがバカにされてきたせいもあって、原には正直に話すもんかと思っていたのさ。
そしてある日。

「何か、肌に張りがないわ……」
片桐は自分の異変に気がついた。
食べても食べても、太らないのだ。
そこまではいい……食べても食べても、どんどん痩せていってしまうんだ。

げっそりと頬はこけ、目は落ち窪んで、とうとう寝込んでしまったんだよ。
家族は、病院に行くことを勧めたんだけど、どうしても嫌がってね。
この症状が治ってしまったら、また前のように太った自分に戻ってしまうんじゃないかって、恐れていたんじゃないかとおもうんだ。

そうこうしているうちに、ある夜、彼女は身体中の皮膚がむずがゆくなるのを感じたんだ。

よく見ていると、皮膚の薄い皮の下で何か動いているのが、はっきりとわかった。
彼女は、夢中で押し入れから何かを取り出した。
「こうしてやる!!」
夢中で、そのうごめくものを針で突き刺したのさ。
自分の皮膚を通してね。

「まだうごめいている。
ここにも……。
そこにも、こんなところにまで……。
こうしてやる、こうしてやる、こうしてやるー!!」
彼女は、翌朝、息を引き取ったんだ。
身体中に針を突き刺してね……。
彼女が、寝込んでからたったの一週間だったよ。

病院での解剖の結果、彼女の体内には寄生虫が徘徊し、びっしりとその卵が産みつけられていたそうだ。
内臓にも、血管の中にも有りとあらゆる所にうごめいていたのを想像しただけで、背筋にさむくなるよな。

彼女が痩せてきたのは、寄生虫が栄養分を吸い取っていたからだったんだ。
飴玉ばあさんの飴をなめた奴が、全部が全部幸せになれるわけじゃなかったらしい。
たまには、こんなはずれクジもあるってわけだ。

まあ、お前の選択も正しいと言えば正しいかもな……。
……俺の話は終わりだ。
次の奴に話してもらおうぜ。


       (三話目に続く)