学校であった怖い話
>二話目(荒井昭二)
>B7

桜井先生は、ダッシュしました。
「あの突き当たりを曲がって、階段を下りればすぐ出口が見えるはずだ!」
サンダルをはいてきたので、ガラスの破片が入り込んで足が切れていますが、そんなことは気にしていられません。

「あの角を、あの角を曲がれば!!」
あの足音も、追ってきているように感じます。

そして、突き当たりを曲がり階段を駆け下りました。
と、その時、何かが先生の背中にドンッと体当たりしました。
「うわーーーーーーーーーーっ!」

ものすごい音を立て、桜井先生が階段から転げ落ちたんです……。
桜井先生は、もうろうとする意識の中で見たんです。

階段の上に立って、笑いながら自分を見下ろしている男子生徒の姿を……。
そして、先生は男子生徒の言葉を確かに聞きました。
「僕と、同じだね……、ふふふ」

桜井先生は、翌朝旧校舎の階段の下に倒れているのを発見されました。
ガラスや、木くずなどの上を転がったので、何針も縫う大ケガをしたそうです。
桜井先生は、その後入院生活を終えると学校の先生を辞めてしまいました。

先生の背中には、いつまでも消えない手形のようなシミが残っていたそうです。
あの、男子生徒は何だったんでしょうね。
もうじき、旧校舎が取り壊されるそうですが、何かが起こりそうな気がしてしかたないんです。

……僕の話は、これで終わります。
ありがとうございました。


       (三話目に続く)