学校であった怖い話
>二話目(風間望)
>A8

「あのー、お願いしますよ。これは、怖い話の特集なんです。学校の食堂がまずいのどうのっていう話じゃないんです。これじゃ、記事が書けませんよ。後生だから、僕を助けると思って、まじめに話してもらえませんか?」
風間さんは、不満顔だ。

でも、仕方ない。
僕は、ねばった。
どうやら、話す気になってくれたみたいだ。
今度こそ、怖い話を期待したい。
……しょうがないな。
僕は、もう五話も話したんだよ。

一人目が一つ話したから、僕がもう一つ話すと、もう七不思議が完成してしまうじゃないか。
みんな、これは失敗だよ。
僕に、七つ目の話をさせるなんてね。
それが、どんな災いを招くかわかっていない。

はっきり言って、七つ目の話なんて、どうでもいいのさ。
問題は、七話を話したという事実が大事なんだ。

そうだな、七話目は……。
この学校で、五年前に自殺した奴がいる。
おわり。
これで、いい。
これで、七不思議は完成した。

七不思議が終わると、どんなことが起きるか知ってるかい?
一人いなくなるんだよ。
そうさ。
今までいた人間のうち、一人が急にいなくなってしまうのさ。
ほら、数えてごらん。

一人……二人……三人……四人……五人……。
六人。
……六人しかいない。
坂上君。
君を含めて、七人いなければいけないはずだろ?
それが六人になっている。

「……風間さん。自分のこと、数えてません」
「…………つまらない奴だな、君は。せっかく僕が盛り上げているのに、どうして、さっきから水を差すんだよ。まったく、もう……ぶつぶつぶつ…………」
風間さんは、ぶつぶつ言っている。

どうして、先輩はこんな人を呼んだんだろう。
もしかしたら、この企画を失敗させるつもりじゃないのか?
僕は、気を取り直して三人目の話を聞くことにした。


       (三話目に続く)