学校であった怖い話
>二話目(風間望)
>K3

……………………………………… ……………………………………… …………………………風間さんは、おなかをボリボリかき始めた。
「ち、ちょっと、
何するんですか!?」
僕はあわてて彼を制した。

彼はシャツをまくり上げ、おもむろにおなかをかき始めたのだ。
ここには女子もいるというのに……。
風間さんはおなかをかくのを止め、腰を浮かせ、身をのり出した。
何だろう。
本当に何なんだろうこの男は。
不思議な威圧感を持っている。

ただ者ではない。
先輩が彼を呼んだのは、何か深い意味があるのだろうか。
この男は、危険な香りがする……。

「ごめんごめん。おならしちゃった」
か、風間さん……。
彼の浮かせた腰からは、恐ろしく危険な香りがただよっていた。
部室は、臭い空気に包まれた。

苦しい。
こんなに残酷な仕打ちがこの世に存在するなんて。
この苦しさを知ってしまったら、これからの人生にどんな苦難があろうとも、のり越えていける、僕はそう思う。
だめだ、気が遠くなりそうだ……。

ああ
あああ
ああああ………。
「君、おおげさに嫌がるのは止めてくれないか。
僕は、最上級生だよ。
先輩に対する礼儀を忘れてはいけないな」

………。
なぜ先輩は、こんな人を呼んだんだ?
風間さんの態度に、僕は腹を決めた。
礼儀も何もあったもんか。
これ以上は耐えられない。

この人が、本当はすごい怪談を知っていたとしても、もう関わりたくない。
僕は、次の人の話を聞くことにした。
「風間さん、申し訳ありませんでした。
素晴らしいお話をありがとうございます。
どうぞごゆっくりお休みください。
あっ、帰っていただいても結構ですよ。

ああ、そうですか、まだここにいるおつもりなんですか。
……分かりました。
でも、つまらなくなったらいつでも帰って下さいね。
……それでは、違う話に移りましょう。
次の方、お願いします……」


       (三話目に続く)