学校であった怖い話
>二話目(岩下明美)
>B12

あんた、なんてことするのよ?
振り返る?
振り返るですって?
彼女はいったじゃない。
振り向かないでって。
忠告したじゃない。

振り向いたら、大変なことが起きるって。
どうして振り返るのよ。
嘘つき。
嘘つきだわ。
人の忠告はきけるっていったくせに。
殺してやりたい。

あんたは、振り返った。
もちろん、彼女は怒ったわ。

言葉にならない怒りの声をあげながら、あんたの首を絞めたのよ。
どう?
苦しい?
苦しいはずよ。
彼女はあんたを殺すつもりだもの。

ほら。
聞こえるでしょう?
彼女の声が。
苦しい?
息ができない?
もう返事はできないわね………… ……………………………………… ………………………。

翌日、首を絞められ殺されたあんたは、例の廊下で発見された。
あら、ごめんなさい。
あんたじゃなかったわね。

もう一人の坂上君の話だったわよね。
彼の首の肉には、棒で刺したような穴がいくつもあいていたそうよ。
首に指を突き刺したような穴が、ぷつぷつあいていたというわ。
あなたがおぶっていた女の子は、一体何だったのかしらね。

ところであなた、人の忠告は聞けるっていったわよね。
だったら、忠告しておくわ。
今度は、ちゃんと聞いてね。
さっきみたいに、忠告を無視しないで。
いい?
あなた、一年E組っていってたわよね?

確か、あの教室って三階よね。
長い廊下の端にある、あの教室がE組じゃなかったかしら。
そこって、今私が話をした例の廊下なのよ。
気をつけて。
くれぐれも、気をつけてね。
うちの学校って、霊気がすごいでしょう。

あの廊下にも霊がうようよいるの。
あそこは、人を試す廊下っていわれていてね。
自分は優しいとか、約束を守るとか、人の忠告は素直に聞くとか……。
そういった、理想的なことができるっていうと、あそこにいる霊が幻を見せて、人を試すらしいわ。
うふふ……。

あなた、さっき自分のことをなんていったかしら?
もう一度いうわ。
くれぐれも気をつけてね。
忠告しておくわ……。
さあ、私の話はこれで終わり。
次は、誰の番?


       (三話目に続く)