学校であった怖い話
>二話目(岩下明美)
>D13

あんたは後ろに腕を回し、力強く彼女を支えたの。
そして、こういったわ。
もう、離さないって。
約束は守るって。
彼女は、すごく喜んだ。

「ありがとう。私のこと、離さないでね。ずっと、ずっと……」
あんたは、今度こそ約束を守った。
いつまでも、いつまでも、彼女を背負いつづけたの。
無限の長さを持つ廊下の上で。
永遠に……。

彼女との約束をやぶった罪は、そのことで償うのよ。
わかったわね……。
ああ、ごめんなさい。
あんたの話じゃ、なかったわね。
これは、もう一人の坂上君の話だったわ。

でも坂上君。
あなた、一年E組っていってたわよね?
確か、あの教室って三階よね。
長い廊下の端にある、あの教室がE組じゃなかったかしら。
私が今した話は、そこの廊下の話なの。

うふふ……。
気をつけてね。
あなたと同じ行動をとって、神隠しにあった男子生徒がいるそうだから。

その名前は……。
坂上修一君。
ああごめんなさい、そうじゃなかったわね。
これは、仮に呼んだ名前だったわ。
仮にね……。
さあ、私の話はこれで終わりよ。
次は、誰の番かしら?


       (三話目に続く)