学校であった怖い話
>三話目(新堂誠)
>R3

男子バレーボール部では、呪われたボールを再び捨てることにしたんだ。
奴等はボールを布で巻き、ひもで厳重に縛り、焼却炉に投げ込むという方法をとった。
すると……。

燃え盛る炎の中から、呪われたボールが飛び出てきたんだよ。
ボールはひとりでに転がって校庭を突っ切り、バレーボール部室まで進んでいった。
その時、部室のドアは閉じていたさ。
だが、ボールはドアをすり抜け、中に入ってしまったんだ。

そして部室に引火させ、小火を起こしたんだよ。
部員は慌てて消火作業をおこなった。
幸い、火はすぐに消えたよ。

だが……。
焼けただれた部室の壁には、黒いススや焼き跡がこびり付いてしまったんだ。
そしてその焼き跡は……。

人の形をしていたのさ。
それは、合宿所にあった壁の染みとそっくりな形をしていたそうだ。
どんな形だったと思う?
……そう、ボールを持った運動部員のような形をしていたんだよ。

昔、あの合宿所が学校だった頃、バレーボール部員が事故に遭って死んでしまったらしい。
その霊が、うちの学校の合宿を見て、羨ましいと思ったんだろうな。
ボールに姿を変えて、みんなについてきてしまったんだよ。
みんなにケガをさせたのは、自分の存在に気付いてほしかったからなんだ。

みんなは確かに気付いたさ。
だが、その霊を供養するどころか、焼却炉に投げ込んでしまった。
まあ、霊のやり方もまずかったとは思うけれどな。
その霊は結局、部員の仕打ちを怨んで地縛霊になってしまったんだよ。
あの部は今でもよくケガ人が出るらしいからな。

………。
いいか坂上。
強い心と注意力、これが肝心だ。
この学校に通うなら。
スポーツを、始めるのなら……。
俺の話はここまでだ。
次は、誰が話すんだ……?


       (四話目に続く)