学校であった怖い話
>三話目(荒井昭二)
>M8

しかし、このまま身を投げる気にはなれませんでした。
自分はまだ、実験を行わなければならない……。
そう思ったのです。
しかし、何者かが、彼の背を押しました。

その為、彼は屋上から……。
落ちていったのです。
地面に向かって。
あるいは、地の底に向かって……。
そうして彼の魂がたどりつく先は、地獄なのかもしれません。

次の日、学校では大騒ぎでした。
相沢さんから逃げ出した友達が、すべてを告白したのです。
校内では、様々な噂が広まりました。
しかし、相沢さんの家を調べると、今までの出来事を克明に記した日記帳が見つかったのです。

それには驚くべきことに、書けるはずのない前日の最後の瞬間の出来事までもが綴られていました。
まるで、そうなることを予測していたかのようにです。

もちろん、その部分を警察も学校側も信じませんでした。
屋上から身を投げた人間が、その死の一瞬までをも書けるわけはありませんから。
日記の最後は、こう結ばれてました。

『お父さん、
お母さん、
そして皆さん。
僕は屋上に住む魔物に食べられます。僕が生けいえにならなければ犠牲者は増え続けるでしょう。旅立ちます。さようなら』

警察は、家出したと判断しました。
そして、捜索隊が組まれたのです。
ですが、見つかりませんでした。

なぜ、そんなことをしたかおわかりですか?
相沢さんの死体が発見されなかったんですよ。
屋上から飛び下りたはずの相沢さんの死体どころか、痕跡さえもまったく見つからなかったのです。
それが見つかっていれば、警察もまた違った解釈をしたんでしょうけれど。

相沢さんは、屋上に住むという魔物に本当に食べられてしまったのでしょうか?
それとも、本当は飛び下りずにどこかへ旅立ったのでしょうか?

……実をいうと、僕は知っているんですよ。
相沢さんがどこにいるのかを。
知りたいですか?
1.知りたい
2.知りたくない
3.別に興味ない