学校であった怖い話
>三話目(荒井昭二)
>R5

彼は、桑畑をつき落とすのをやめました。
そして、屋上の柵に手をかけ、自ら下に飛び下りたのです。
桑畑を、屋上の冷たいコンクリートの床にころがしたまま……。

相沢さんの絶叫が、辺りに響きわたりました。
そして、答えはでたのです。
相沢さんは、助かりませんでした。

……高い所から下を見たら、吸い込まれそうになるとよくいいますよね?
あれは、地の底に潜む死者が、招いているのだということをご存じですか?

そうそう、この学校の屋上にあがるときは注意した方がいいですよ。
相沢さんが、招くそうですから。
実際そのために、飛び下りてしまった生徒がいたそうですよ。
彼は、自分でだした答えに、満足していないのかもしれません。

だからつぎつぎと人を招き、飛び下りた結果を知ろうとしているんじゃないでしょうか。
僕は、思うんですよ。
彼は、屋上から落ちても人は死なない、という答えが欲しかったのではないかと。

だって、屋上から下を見るとすごく気持ちがいいじゃありませんか。
飛び下りたら、気持ちよさそうだと思いませんか?
それなのに、落ちたら死んでしまうなんて、何だかおかしいと思いませんか……?

でも、そう感じるのは、死者が誘っている為なんですよね。
それがわからず、犠牲になってしまった相沢さんは、不幸な人だと思います。
あなたも、十分気を付けて下さい。

死者が呼ぶだけなら、まだいいと思います。
でも、思いが強い死者は、高い所から下を見ている人を後ろからつき落とすこともあるそうですから。
……僕の話はこれで終わりです。
次は、どなたの番ですか?


       (四話目に続く)