学校であった怖い話
>三話目(岩下明美)
>C11

彼女の家族が乗っていた車が、ブレーキ事故か何かで崖から落ちたのよ。
全員即死だったっていうわ。
お葬式が終わって、清水さんの家には親戚のおじさんが引っ越してきたの。

それで、その人が彼女の絵をいやがって、学校に寄付するっていい出したのよね。
学校側は引き取ったんだけど……それがいけなかったのかもしれないわ。

ある日、美術室にあるはずの彼女の絵が、突然消えてしまったの。
みんなで捜しても見つからなくて、一応親戚の人に聞くことになったわ。

……でも、電話をしても誰も出ない。
何度かけなおしても、全然つながらないの。
しょうがないから、美術部顧問の先生と部長とで、家まで行ったんですって。

だけど、やっぱり応答がないのね。
そのくせ、中からテレビらしい音がしているのよ。
居留守かと思ってドアノブを回したら、案の定、鍵が開いてるじゃない。
だから、開けてみたんですって。

そうしたら…………親戚のおじさんが、のどから血を流して死んでいたの。
それからもう、警察を呼んだり、大騒ぎだったって。
おじさんの傷は、何か大きな動物にかみつかれてできたものだったそうよ。

大きな動物……あなた、何か想像できる?
私にはできるわよ。
だって、現場には例の肖像画が落ちていたんですもの。

その絵の中の、彼女の口元に、血のようなものがついていた……。
なんていったら、信じてくれるかしらね。
清水さんにしてみたら、自分の家を奪われたも同然ですものね。
いいえ、もしかしたら家族の人の事故も、ただの事故じゃなかったのかもしれないわ。

……うふふ、坂上君ったら怖い顔。
私の勝手な推理を、本気にしちゃったの?
絵についてた血は、飛び散ったときについたものかもしれないじゃない。

真相は闇の中なんだから……うふふ。
これで、私の話を終えるわね。
次は誰かしら?


       (四話目に続く)