学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>B7

そう、畑中は死体を埋めた場所にいってみたのさ。
すると、土に白いロープで人型がつくってあるじゃないか。
「まさか……。
赤坂の死体が、ここで発見されちまったのか……?」
赤坂は、震える手でそこの土に触ってみた。

……掘り返されたような跡はない。
すると、このロープは一体……?
畑中の背後で、何かがうごめく音がした。
「畑中君。そのロープは、これから死ぬ人の為の印だよ。
その人というのは……君のことさ。
君は、ここで倒れているのを発見されるんだよ」

畑中の背後には、赤坂がいた。
赤坂の霊が、畑中の背におぶさるようにして乗っていたんだ。
だから、畑中が後ろを振り返っても、赤坂の姿は見えなかった。
「赤坂!? どこだ? どこにいるんだ!?」
畑中は、やみくもに動きまわった。

振り向いたり、腕を振り上げたり、空を蹴ったり……。
だが、赤坂の姿は見えず、奴の声だけが耳元で響き続けたんだよ。
そして……。
畑中は、自分の背中に赤坂がはりついているのを感じ、自らの身体に拳を何回も打ち込んだのさ。
何度も何度も。

翌日、畑中が白いロープの人型の中で死んでいるのが発見された。
一年生がそれを見つけた瞬間、白いロープは煙のように消えてしまったということだ。
死んだ畑中の口の中には、グローブが詰め込まれていたっていうぜ。
それは、血のように赤いグローブだったそうだ。

坂上。
ボクシング部がすたれちまったのは、こういう事件があったからなんだよ。
又、畑中の死を追うように、次々と同学年の奴らが死んでいってな。
奴らは、それぞれ自分の拳で自分のからだに傷を付けていったらしい。

それから、ボクシング部でしごきが行われると、しごいた奴が後で必ず事故に遭うようになったということだ……。
俺の話はこれで終わりだ。
次の奴に、話してもらおうか……。


       (五話目に続く)