学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>E9

「もう、やめましょう。
これ以上の犠牲が出ないうちに……」
僕がそういうと、残りの二人は睨むように僕の目を見つめた。
「坂上君、寒気がしないかい?
今やめたら、きっともっと恐ろしいことが起きる。僕にはそんな気がするよ」
一人が、そういった。

「ねえ、ここまできたんだもん、最後まで話をしましょうよ。そうして、見届けるの。
この集まりの結末をね」
もう一人が、強く語りかけてきた。
なぜ、この二人は、こんなことをいうのだろう。
まるで、何かに取り付かれているようだ。

部室内に緊迫した空気が流れた。
静まりかえった空間に、僕の鼓動のみが響いていた。
二人は、じっと僕の言葉を待っている。
「やっぱり、やめましょう……」
僕は、臆病者だ。

二人にやめようといい、返事を聞かずに部室を飛びだそうとした。
すると……。
「坂上君、君は、呪われてしまうよ……」
背後から声がした。
呪われる?
僕が……?

僕は振り向かず、部室を後にした。
すると、部室から二人の笑い声が聞こえてきた。
僕をあざ笑っていたのかもしれない。

その夜は、悲しい夢を見た。
僕の知り合いが、一人一人いなくなっていく夢だった。
それは新聞部の先輩だったり、親友だったりした。

次の日学校に行くと、日野先輩が僕のクラスの教壇の上で倒れて死んでいた。
日野先輩の頬は、「呪」という字の形をした切り傷がついていた。
その傷からは、血の筋が何本もたれていた。
僕は、嫌な予感がした。

七不思議の怪談を最後までやるべきだったんだろうか。
そして、僕達を脅かしたものの正体をつきとめ、戦うことが最良の道だったのだろうか。
しかし、もう時間は戻せない。
僕はその時、手のひらにピリッとした痛みを感じた。

何だろうと思って、見てみると、僕の手の甲に「呪」の文字の形をした傷がついていた。
次は、僕の番なのか……?

僕は、目を伏せた。
そして、運命に身をゆだねる自分の姿を想像してみた。
その姿は、真っ赤に血塗られていた。
真っ赤に、真っ赤に、血塗られていた……。


そしてすべてが終った
              完