学校であった怖い話
>四話目(風間望)
>C4

それじゃあ電気をつけてくれ。
風間さんの声に、誰かが電気をつけた。
「さあ、これで信じてくれたかな?
僕は本当に霊媒師なんだよ」
得意げな風間さん。

片手を背中に回して、なにかゴソゴソやっている。
なにをしているんだ?
「あっ、この人テープレコーダーを隠し持ってるわ!」
同席してた女の子が、大声を上げた。
「おいおい、声が大きいよ。
でも、バレちゃしょうがないな……」

風間さんは悪びれもせず、後ろ手に持っていたテープレコーダーを机に置いた。
ひょっとして、あの不気味な声は、みんなこのテープレコーダーから流れていたわけ?

「ひどいじゃないですか、風間さん!」
「なんでだい? 君たちは、怖がりたいからこんな企画に、わざわざ来たんだろう。だから、僕もこんな物まで用意して、その期待に応えようとしたんじゃないか」
…………全然、反省していない。

あんまりだ。
なんで、こんな人が来てしまったんだろう。
そのとき、女の子がいった。
「ねえ……それより、さっき電気をつけてくれたのは誰?」

なにをいってるんだ?
僕はなんの気なしに、みんなを見回した。
……あれっ?
誰も、何もいわない。
「電気をつけた人よ。絶対この中にいるはずなのよ」
それでも、自分だといい出す人はいない。

うかがうような視線で、きょろきょろとお互いを見合っている。
女の子の顔が、青ざめて見えた。
「やっぱり。この人が電気をつけてっていったとき、誰も動く気配がしなかったのに、電気だけがいきなりついたのよ」

なんだって!?
それじゃあ、電気が勝手についたっていうのか!?
風間さんまで、びっくりしたような顔をしている。

ここには、僕たち以外のなにかがいるということなんだろうか?
これ以上話を続けたら、なにか悪いことが起きるような気がする。
……それなのに僕の口は、勝手にこういっていた。
「……それでは次の人、お願いします」


       (五話目に続く)