学校であった怖い話
>四話目(風間望)
>D4

そうか。
電気をつけたくないのか。
君の選択は、間違ってるよ。
君は、さらなる恐怖を味わうことになってしまうぞ。

やばい!
霊が怒っている。
今、君は霊を馬鹿にしなかったか。
こんなこと、あるわけないと心で笑わなかったか。
そう思ったのなら霊に謝ることだ。
霊は、収まってくれるはずだ。

だめだ!
君は、馬鹿にしている。
僕が抑えなきゃ、霊は暴れまくるぞ!
どうか、収まりください。
我々は、あなた方を馬鹿にしてはいません。
どうか、元の場所に帰ってください。

まずい、霊が現れてしまった!
みんな、動くんじゃない!
動くと襲われるからな!

あ、だめじゃないか、電気をつけちゃ。
誰だよ、電気をつけたのは。
……もう、しらけるなあ。
……風間さんは、発泡スチロールの箱を持っていた。

「それ、ドライアイスじゃないの!?」
同席していた女の子が、改めて風間さんを指さした。
箱の中には白く煙を上げるドライアイス……。
あのエクトプラズムは、ドライアイスの煙だったのか?

「君達、これがドライアイスにみえるのかい?
これは、霊を冷やして固めたものなのさ」
何をいってるんだ、この人は。
さらに、女の子が突っ込んだ。
「あ! こんなところに、テープレコーダーが置いてある!」

そういって、机の下を指さした。
ひょっとして、あの不気味な音は、みんなこのテープレコーダーから流れていたわけ?
「いいの。僕は、霊媒師だから、何をやってもいいんだよ。君、うるさいねえ。そんなこといってると、霊に呪われちゃうよ」
風間さんは、すっかり開き直っている。

みんな、風間さんのことを、あきれたような顔で見ている。
当然だろう。
「……君たち、心が狭いよ。ちょっとしたジョークぐらい理解してくれなくちゃね。本当は、これから霊を呼ぼうと思っていたんだから」
風間さんは、完全に開き直っている。

「……なんだ、みんなのその目は。僕に文句でもあるのか? 僕は、みんなに怖い思いをさせてやろうと思ってだなあ……もう、いいよ。さっさと次の奴の話を聞かせてもらおうじゃないか。つまらなかったら、ぶっとばしてやる」

そういって、風間さんはソッポを向いてしまった。
いったい、何者なんだ、この人は?
……あーあ、すっかり、いじけてしまって。
仕方ないな。
それじゃあ、次の人の話を聞こうか。


       (五話目に続く)