学校であった怖い話
>四話目(風間望)
>I5

「……やめましょう」
僕はいった。
誰かが不満そうな声をあげた。
だけど、ほとんどの人は僕と同じ意見みたいだった。

それはそうだろう。
風間さんのいった、暗がりに潜む気配っていうのは、確かに感じられるんだから。
本当にあの暗がりには、なにかがいる。
もちろん、それがなにか確かめるなんて気は全然なかった。

僕だって命は惜しい。
それほど危険な気配だったんだ。
……案外、風間さんも『神』なんていって、本当はここから逃げたいだけだったのかもしれない。
僕たちは立ち上がった。
暗がりにいるヤツに隙を見せないよう、ゾロゾロとくっついて部室を出る。

扉を閉めようと振り向いたとき、一瞬暗がりでニヤリと笑う二つの目が見えた……ような気がした。
僕はあわてて扉を閉めた。

誰も、次の集まりをいつにするかとは聞かなかった。
この次なんてないと、みんなわかっているんだろう。
命拾いしただけでも、よしとしなくちゃ。
この企画は、やってはいけなかったんだ。

見慣れたはずの学校が、なんだか急に不気味な存在に思えた。
二度と、この企画はやらない。
僕は、固く心にそう決めた。


そしてすべてが終った
              完