学校であった怖い話
>五話目(新堂誠)
>E10

(ジョーカー)

そう思った僕の視界を、一瞬小さなものが横切った。
なんだ?
目で追った僕は、思わず硬直した。

そこにいたのはピンポン玉サイズの小さな生き物だった。
頭半分がドクロになっていて、もう半分の女の顔が、嬉しそうに僕を見つめている。
顔の下に、触手がざわめいていた。
僕以外の誰も気づいていないけれど、でも。

トランプの女だ。
本当に戻ってきたんだ。
そして僕は、わざわざヤツらの前に身を投げ出した馬鹿者だ。
目の前が真っ暗になる気がした。
黙っている僕の代わりに、誰かがいった。
「それじゃあ、六話目だな」


       (六話目に続く)