学校であった怖い話
>五話目(新堂誠)
>V6

僕はムッとしたけど、黙っていた。
やっぱり、相手は先輩だもんな。
新堂さんは、そんな僕を見て苦笑した。
「おまえって、いいヤツだけど……
記者には向いてないんじゃねえか」
「……どういう意味ですか?」

「人のいったことをよく聞いて、疑問に思ったら突っ込んで聞く。これが記者の基本だろう? おまえにはできないよ」
僕は本気でムカッとした。
「そんなことまで、いわれる筋合いはないと思いますけど」
つい、きつい口調になってしまう。

「失礼じゃないですか。さっきだって、霊か何かが僕を見てるなんて脅したり……」
新堂さんはくすっと笑った。
「あれが脅しだと思ったのかよ。おまえの霊感も、当てにならねえな」

その言葉と同時に、何かが弾けたような音がした。
それも一度ではなく、いろんな場所から何回もだ!
「ほら……おまえが間抜けなこというから、ヤツらも笑ってるじゃねえか」
笑ってる?
ヤツらって、霊のことか?
これはラップ音なのか!?

「もう少し見込みがあると思ったんだけど、間違ってたかな。なんだか白けちまった。俺の話は、これで終わっちまうからな」
一瞬、新堂さんの表情の下で、何かがうごめいた。
ハッキリとはわからないけど、確かに邪悪な何かが。

この人は本当に、ここの生徒の新堂誠なんだろうか?
息苦しい緊張の中で、僕は最後の一人に向き直った。
これを続けることが、正気を保つ唯一の手段のような気がして…………。


       (六話目に続く)