学校であった怖い話
>五話目(風間望)
>P5

こんなことにつきあって、僕って本当にお人好しだ……。
でも、ひょっとしたらという気持ちも、ほんの少しはあったし、僕は我慢した。
さあ、もういいよ。
目を開けてごらん。
彼は言った。

……これといって、変わったところはないようだけれど。
そんな僕を見て、笑いながら彼はいった。
悪いけど、今はまだ僕の妖怪としての力を証明できないんだよ。
それがわかるのは、今度の満月の夜だ。
その日、坂上君は自分の変化に気づくよ。

君は、獣に変身するのさ。
僕は、妖怪ぬらりひょん。
僕は、人間を妖怪に変えることができる。
それが、僕が妖怪だってみんなに証明できる唯一のものなんだ。
坂上君は、身をもってそれを証明することになるわけだな。

そういう、風間さんの目が金色に光ったのを、僕は見逃さなかった。
僕が妖怪になる?
冗談言うなよな。
……でも、今度の満月まで確か後三日だ。
気にすることはない、風間さんのいうことなんか信じなければいいんだ。

……信じなければ。
風間さんは、みんなを見回していった。
「さあ、僕の話はこれで終わってしまった。
満月の夜、坂上君を見てもらえれば、僕のいっていたことが本当だって思うさ。……さあ、次の人の話を聞こうか」


       (六話目に続く)