学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>L4

坂上君って、案外かわいいのね。
文通だなんて、大昔の女子高生みたい。
あら、いけないっていってるんじゃないわ。
そうよね、いいにくいことでも、文章にすれば伝えやすいってこと、あるわよね。
二人も、そうしたの。

一日一通ずつ、いつも同じポストに入れて。
坂上君、こういうときの女の子の気持ちってわかるかしら。
早くあの人の元に、届きますように。
いい返事が来ますように。

お祈りするような気持ちで、大切に大切に手紙を入れるのよ。
矢口さんも、そういう思いを込めて手紙を出していたの。
おまじないのつもりで、ぽんぽんとポストを叩いたりしてね。

でも、そんなこと、しないほうがよかったんだわ。
だって…………。

坂上君、つくもがみって知ってる?
作られてから、長い年月が経過した道具には魂がこもるっていうんだけど。
うふふ、何がいいたいかわかった?
そう、矢口さんの利用していたポストはね、つくもがみだったのよ。

……何笑ってるの?
私のいうこと、信じてないの?
それとも生きているポストなんて、おかしいかしら。
でも、本当なんだもの。

それでね、そのポストは、矢口さんに恋をしてしまったらしいの。
でも、矢口さんには伊達君という恋人がいるでしょう。
考えたあげく、矢口さんの手紙を隠してしまうことにしたのね。

当然、伊達君のところには手紙が届かない。
伊達君は、矢口さんを問いつめたわ。

「なんで、この頃手紙をくれないんだよ」
矢口さんは驚いたわ。
だって、彼女は毎日出し続けているんですものね。

「出しているわ。届いていないの?」
それで、伊達君も驚いた。
矢口さんがそんな嘘をつく人じゃないのは、彼自身が一番よく知っていたから。

それなら、ポストの裏かどこかに張りついているのかもしれない。
他の人に見られたりしたら大変よね。
二人は放課後、例のポストまで行ってみることにしたの。

それは、なんの変哲もないポストに見えた。
二人はどうしたと思う?
1.矢口さんがポストに手を入れた
2.伊達君がポストに手を入れた