学校であった怖い話
>五話目(福沢玲子)
>N9

「やめましょう……」
僕は、力なく答えた。
すると最後の人は、いきなり僕の腕を引っ張りこういった。
「逃げられないんだよ。坂上君、君が七不思議の集まりに参加した時から、運命は決まっていたんだよ。もう、逃げられないんだよ……」

彼は、僕の腕をぐいぐいと引っ張りながら歩きだした。
なんて強い力なんだろう。

僕は、彼の気迫に圧倒され、引きずられるようにして廊下を進んだ。
「これから、旧校舎に行こう」
彼は突然そんなことをいいだした。

そして、僕の返事は聞かずにどんどん進んでいった。
旧校舎……。
旧校舎に、一体何があるんだ?

「僕は、話をさせてもらうよ。ここまで付き合ったのに、どうして帰らなきゃいけないんだい?」
ツバを飛ばしながらしゃべる彼の様子は、ただごとではなかった。

「………」
僕は、もうなにもいえなかった。
これ以上何かいったら、彼をいたずらに刺激するだけだ。
僕はなすすべもなく、彼と共に歩み始めた。
長い廊下を。
旧校舎への道を………。


       (六話目に続く)