学校であった怖い話
>六話目(新堂誠)
>F7

「坂上、お前、なかなかやるじゃないか」
新堂さんが、にやにやしている。
「……新堂さん、邪魔です。今、いいところなんですから」
僕は、彼を冷たくあしらった。
すると……。

「坂上……。
お前、変だとは思わないのか?
女を口説く呪いの本だなんて、調子のいいことがあると思っているのか?

……本当のことを話してやろう。
この本は、人を暗示にかけ、幻を見せるという効果があるのさ。
中に悪魔でも住んでるんじゃないか?
人にいい夢を見せてやる代わりに夢を見た奴の寿命を何年か短くするって話だぜ。

呪われているよな。
だから、今お前の目の前にいるのは、女教師じゃないんだよ。
ただの本棚だ。
背の低い本棚だよ。
お前は本棚に向かって、愛の言葉をささやいていたんだ。

あんまり、センスのいい言葉じゃなかったぜ。
ははは………」
な……なんだって!?
新堂さんは、何てことをいうんだろう。

「う、嘘だ!! この人は、女の先生だ!!
本棚なんかじゃない! ね、せんせ……」
「あっ、坂上! お前、本棚なんかに頭をぶつけて……」
……………………………………… …………………………目の前が、真っ暗になった。

なんてことだ。
なんてことなんだ……。
何だか力が抜けていく……。
頭に、衝撃を感じた。
誰かに殴られたような……。
これは、悪魔に寿命をとられたショックか?
分からない。
もう、何も分からない。

頭が痛い。
痛い……。
僕は、力なく床に倒れこんだ。
そして、ゆっくりと気を失っていった……。


       (七話目に続く)