学校であった怖い話
>六話目(荒井昭二)
>A6

「それでは、そろそろ帰りましょうか。七人目をこのまま待つわけにはいきませんからね」
僕は、そういってみんなを帰らせるようにうながした。
七話分が集まったわけではないが取りあえず新聞の記事のネタとしては十分だ。
「それじゃ、お先に……」
最後の語り部の生徒が帰る。

「僕も、ここを早く片づけて記事のまとめに入らないと……」
誰かが、忘れ物でもしたらしく部室に戻ってきたようだ。
「忘れ物ですか? いいですよ。僕は今、手が放せないんで勝手に探して持っていってください」

僕は、椅子を片づけながら背中でいった。
振り向いて、僕は凍りついた。

部屋の入り口に、子供がこちらをじっと見て立っている。
青白い肌に、無表情で大きな目と黒い髪が印象的だ。
さっきから、僕の行動を目で追っていたようだ。

こんなところに子供が?
いや、この子は人間ではない。
……そうだ、これは。
僕はすぐにわかった。
この子は、荒井さんが話してくれた人形だっていうことが……。
そして同時に、僕が次の生けにえだということも……。


そしてすべてが終った
              完