学校であった怖い話
>六話目(荒井昭二)
>E10

「待ってください!」
僕は荒井さんを引き止めようと、彼の肩をつかんだ。
「!?」
振り向いた彼の顔は、真っ白だった。
しかも、無表情で大きく白目の多い瞳が僕をとらえた。
一瞬の出来事で、僕はそのままそこに立ちすくんだ。

走り去る彼の後ろ姿を見ながら……。
彼はいったい……。

この話は、謎の部分が多いまま終わることとなった。
今さら、後悔しても遅い……。
話を聞かないといった僕が悪いんだから。

部室に帰ろうと振り返った時、僕の視線はそこにあるものに釘付けになった。

部室の入り口に、子供がこちらをじっと見て立っている。
青白い肌に、無表情で大きな目と黒い髪が印象的だ。
さっきから、僕の行動を目で追っていたようだ。

こんなところに子供が?
いや、この子は人間ではない。
……そうだ、これは。
僕はすぐにわかった。
この子は、荒井さんが話してくれた人形だっていうことが……。
そして同時に、僕が次の生けにえだということも……。


そしてすべてが終った
              完