学校であった怖い話
>六話目(細田友晴)
>A3

そうだよね。
よほど頭がよくない限り、誰だって一度や二度の赤点はあるはずさ。
僕なんか、常習犯だけれど、ははは……。

その時、残された生徒は六人いたんだ。
まるで、今回の僕たちと同じようにね。
男性が四人、そして女性が二人。

彼らは、放課後のひっそりとした旧校舎の、クーラーもないこの教室で、汗を拭きながら補習に取り組んでいた。
先生は、時々様子を見に来るだけだった。
でもね、ちょっと急用ができてしまい、あとのことをほかの先生に頼んで帰ってしまったんだよ。

……それがいけなかったんだ。
頼まれた先生は、なんの気なしに約束してしまったんだね。
その六人のことを忘れて帰ってしまったのさ。
どういうわけか、その時の見回りの用務員さんも気づかなかったようでね。

あとで聞いた話だけれど、確かに見回りに行って、その時には誰もいなかったというんだよ。
嘘をついているのか、それとも何かの力が働いて、一瞬だけ彼らの姿を見えなくさせてしまったのか……。
とにかく、この六人は誰からも忘れ去られ、この教室に取り残されてしまったんだ。

ところで、坂上君。
君、今まで一度もトイレに行ってないけど、大丈夫なの?
ひょっとして、トイレに行きたいとかいうことない?
1.ある
2.ない