学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
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「どうして、僕を殺そうとするんだ!」
僕は尋ねた。
初対面の人に、そこまで憎まれる覚えなんてない。

岩下はニヤッと笑った。
「あなた……私を見て笑ったでしょう。だからよ」
「なんだって!?」
そんなことで、人を殺そうと思うものなんだろうか!?
大体、僕にはそんな記憶はない。

「ウフフ……あれは、今年の入学式の日。新入生のあなたが、私に笑いかけたのよ。でも誤解しないでね。
別に、怒ってるわけではないのよ」
岩下がいった。
僕の考えを読んだのか?

でも、それではよけいに理解できない。
怒ってないなら、なぜ僕を殺す?
「ウフフ、わからない? あなたの笑顔を見て、私はあなたを好きになったの。だから、独り占めしたいのよ」

岩下はニコニコと笑っていた。
そんな馬鹿な。
そんな風に、人を好きになることがあるんだろうか?
目の前に立っている岩下が、不気味な生き物に思えた。
その瞬間。

ザクッという音とともに、僕の背中が切り裂かれた。
しまった!
もう一人、隠れていたなんて……。
倒れながら振り返ると、彫刻刀を持った荒井が、僕を見ていた。
岩下の声が聞こえる。

「あなたが死んだら、死体は私がもらえることになっているの。大切にしてあげるからね……ウフフ」
薄れていく意識の中で、岩下が僕の死体を抱きしめる光景が、浮かんで消えた。


       (ドクロエンド)