学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>1A6

こいつだけは許せない。
どうなったってかまうものか!
僕はこぶしを握りしめ、殴りかかった。
僕のパンチは、目を見開いている日野の顔にまともに当たった。
ガツッと骨に響く。

「うぶっ!」
日野がふっ飛んだ。
風間たちが、急いで抱き起こす。
「きさま……よくも」
日野の血走った目が、僕を見た。

「獲物の分際で、よくもやったな。
もう決めた。
おまえは即、死刑だ!」
僕は床に引き倒された。
「この俺に手を出すなんて、おまえはもう、一分も生きている権利はない」

きっぱりと、日野がいいきった。
その手に、光るナイフが握られている。
その時、福沢が日野をのぞき込んだ。
「ねえ日野様。ゲームをやらないなら、せめて、殺すのは私にやらせてくださいよ」

「あら、ずるいわ! 坂上君って、私の好みだもの。私にもやらせてください」
岩下が割って入る。
日野は苦笑した。

「しょうがないな。いっしょにやればいいだろう」
嬉しそうな女の子たちに、ナイフを渡す。
こいつら、人を殺すことを、何とも思っていないのか!?
福沢が、僕ににっこり微笑んだ。

「私、初めてなんだ。うまくできなかったらごめんね」
無邪気な笑顔だ。
殺されるということよりも、彼女自身の方が怖かった。
「一発で終わらせないでよ。坂上君には、私がとどめを刺してあげるんだから」
岩下の声が聞こえた。

でも今、彼女がどこにいるか、確認することはできなかった。
福沢のナイフが、その時、僕の上に振り下ろされたから。
重い衝撃が胸に落ちてきた。
僕にはもう、目の前の福沢の姿さえ、見えなくなった。


       (ドクロエンド)