学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>1B6

「……あっはっは。いい子だ。残された時間は、あと四時間三十分だ。
せんべつに俺の大事な腕時計をやろう。時間がわからないと困るだろ? さあ、急げ! 急いで、解毒剤を飲むんだ!」

「急げ!」
「急げ!」
「急がないと死んじゃうぞ!」
全員で、僕のことを囃し立てた。
……ぶん殴ってやりたいが、僕にはぶん殴る時間ももったいない。
今は、こいつらのいう通り、解毒剤を見つけることが先決だ。

「早く、早く、坂上君! 急がないと、死んじゃうぞぉ〜〜〜!」
デブの細田が、苦しそうに走る真似をした。
こいつを見てると、余計に腹が立つ。

僕は、新聞部を走り出た。
僕を送る声援が、背中に突き刺さる。
やかましい。
まるで、競技場を出たマラソン・ランナーの気分だ。

僕は、日野からもらった時計を見た。
デジタルだ。
今、夜の十一時と表示されている……。
僕は、デジタル時計のストップウォッチをセットした。
残り、四時間三十分。
さあ、急げ!

(→残り時間4:30で殺人ゲーム開始)