学校であった怖い話
＞七話目（新堂誠）
＞1H5

「……あっはっは。それでいい。でも、おまえはさっき俺に逆らったよな。
そんなことをするとどうなるか、教えてやるよ」
日野がそういうと、僕は押さえつけられた。
また、無理矢理何かを飲み込まされる。

「今おまえが飲んだのは、毒の効き目を速める薬だ。二回も逆らったペナルティとして、残り時間が一時間縮まったぜ」
日野が、腕時計を放ってよこした。

「残り時間は、四時間三十分から一時間引いて、三時間三十分だ。
せんべつに俺の大事な腕時計をやろう。時間がわからないと困るだろ？　さあ、急げ！　急いで、解毒剤を飲むんだ！」

「急げ！」
「急げ！」
「急がないと死んじゃうぞ！」
全員で、僕のことを囃し立てた。
……ぶん殴ってやりたいが、僕にはぶん殴る時間ももったいない。
今は、こいつらのいう通り、解毒剤を見つけることが先決だ。

「早く、早く、坂上君！　急がないと、死んじゃうぞぉ〜〜〜！」
デブの細田が、苦しそうに走る真似をした。
こいつを見てると、余計に腹が立つ。

僕は、新聞部を走り出た。
僕を送る声援が、背中に突き刺さる。
やかましい。
まるで、競技場を出たマラソン・ランナーの気分だ。

僕は、日野からもらった時計を見た。
デジタルだ。
今、夜の十一時と表示されている……。
僕は、デジタル時計のストップウォッチをセットした。
残り、三時間三十分。
さあ、急げ！

（→残り時間3:30で殺人ゲーム開始）