学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>5F5

このまま、こいつを逃がしてやろうか?
でも、こいつは僕を殺そうとしたんだ。
逃がしてやったら、わざわざまた、敵を増やすようなものじゃないのか?
……でも、いい。
逃がしてしまおう。

やっぱりこんなのは僕らしくない。
細田だって、先輩なんだ。
一年生の僕が、これ以上こんなことを続けるなんて、心苦しい。
「……行けよ」
細田は理解できないという顔で、僕を見た。

「行けってば! 僕の気が変わる前に」
「あ……うん、うん」
細田はあわてて立ち上がった。
いそいそとドアに向かう。
これでよかったのかな。

……そう思った瞬間、細田の手が僕の首に伸びた。
逃げる間もなく、締め上げられる。
「う……う」
「やっぱり、日野様のいう通りだった!」
嬉しそうに細田が叫ぶ。

「僕らは選ばれた者だから、何か困難があっても、きっと助かるって! 日野様には、すべてわかっていたんだ!!」
ぎりぎりと、僕を締め上げる。
気が遠くなる。
もう……駄目だ。

気を失う瞬間、ボキッと鈍い音がした。
僕の首の骨が、折れた音だった。


       (ドクロエンド)