学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>5P4

僕はポケットに手を突っ込んだ。
プラスチックの柄の感触。
こんなものが、これほどまでに頼もしく思えるなんて。
僕はドライバーを振り上げ、投げつけた。
「ぎゃああっ!」
ドライバーは、細田の目につき刺さった。

しまった。
あわてて駆け寄った僕にもかまわず、細田はわめきながら転げまわっている。
少しかわいそうな気もするけれど、こっちも命懸けなんだ。
僕は、細田の肩をつかんだ。
「アンプルはどこだ? 答えろ」

「う……う……」
細田は答えない。
答えられないのかもしれない。
僕は、彼の目に刺さったままのドライバーを握った。
「答えないと、このままもっと奥まで押し込むぞ!」
細田の顔に、おびえが浮かんだ。

「あ……きゅ、旧校舎……」
旧校舎か!
嘘をついているようにも見えない。
僕は、こっくりとうなづいた。
「わかった」
手にしたドライバーを、勢いよく引き抜く。

「ぐがっ」
変な声を上げて、細田は気を失った。
今まで、自分にこんな思い切った行為ができるなんて、思いもよらなかった。

「……旧校舎」
僕は、時計を見た。
残り時間はあとわずか……。
急がないとならない。
……しかし、その前に行っておかねばならないところはないか?
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