学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>7W5

僕は、ひとまず逃げ出した。
アンプルさえ手に入れれば、もうこんなところに用はないのだ。
しかし、素早く福沢が出した足に引っ掛かってしまった。
僕はひっくり返った。
手のひらにズキッと痛みが走った。

今のショックで、アンプルが割れてしまったのだ。
僕は必死で、血とともに流れる黄色い液体をなめ取った。
背後で、福沢の笑い声がした。
「きゃははは、無駄無駄。その解毒剤は、一回分全部飲まなきゃ、意味ないんだって。少量飲むと、かえって毒の効き目を早めるそうよ」

なんだって?
振り向こうとした僕の体から、力がふわっと抜けた。
体がしびれる。
これが、毒の効き目?
「もう効いてきたの? 日野様って、本当にすごーい」

嬉しそうな福沢の声。
けれど、僕にはすでに、彼女の姿も見えなくなっていた。
ここまできたのに……。
歯ぎしりするひまさえなく、僕の意識は闇へ沈んだ。


       (ドクロエンド)