学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>7Z8

僕は風間に背を向けて、逃げ出した。
火が回らないうちに、ここから出なければ!
しかし……。
廊下の先は、行き止まりになっていた。
「ふふっ、残念だったね」
追いかけてきた風間が笑う。

「さあ、覚悟をするんだな」
……こうなったら、いちかばちかだ!
僕は風間に向かって、体当たりを仕掛けた。
けれど、ぶつかる瞬間、風間の姿がフッと消えた。

僕は肩すかしを食らって、廊下に倒れた。
次の瞬間、首にカッと熱いものがさし込まれた。
まるでスイッチが切れたように、僕の体から力が抜けた。
立てない……?
それから、なんだろう。

この首から流れ出るものは……。
倒れた僕を、風間が見下ろしていた。
……こいつは、なんでこんなに楽しそうな顔をしているんだろう。
こんなに隙だらけなら、今からでも逃げられそうな気がする。

でも、体がいうことを聞かない。
それどころか、手足が冷たくなってきたような気がする。
あ、風間が帰っていく。
……そうか、火事なんだっけ。

逃げなくちゃ焼け死んでしまうぞ。
残りわずかな力で、必死に立ち上がろうとする。
その時僕には、死神の振り下ろす鎌が、見えたような気がした。


       (ドクロエンド)