学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>B8

僕は、受話器を取った。
「……もしもし、坂上です」
「あ、坂上君? 僕だよ」
「は?」
やけに馴れ馴れしい声だった。
いったい誰だろう。
「やだなあ、もう忘れちゃったのかい。さっきまで一緒だったじゃないか」

「あ! 細田さん」
「いやあ、覚えていてくれたんだね。
嬉しいよ。実はちょっと相談があるんだよ。聞いてくれるかい?」
「え、ええ……」
「ありがとう。君なら、絶対に聞いてくれると思ったよ。さっきの黒木先生の話、覚えてるだろ?」
「はい」

「僕さあ、家に帰ってもあの壁のことが気になってしょうがないんだ。
先生の話は、本当だったのかなあ」

……わざわざ、細田さんはそんなことをいうために電話をかけてきたんだろうか。
それに、どうして僕の電話番号を知っているんだろう。
僕は教えてないはずだ。

「……もしもし? もしもし? どうしたの?
聞いてる?」
「え、あ、はい」
「それでね、こんなこと頼みづらいんだけれど、どうかな? これから一緒に、あの壁の向こうを確かめに行かないかい?」
「え! これからですか?」

いったい、この人は何を言い出すんだろう。
もうすぐ十一時だというのに、これから学校に行くなんて……。

どうしよう。
なんて答えるか?
1.明日にしましょう
2.悪いけれど、僕は興味ありません
3.わかりました。今から行きます