学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>G8

かちゃり、と音がした。
切れたかな。
僕は電話の方を見た。
すると、受話器が外れている。
何だ?
この部屋には、僕しかいない。
ということは、受話器が勝手に外れたというのか?
そんな馬鹿な。
僕は、受話器を手に取った。

すると、耳に近づけてもいないのにしゃがれた声が聞こえた。
「おまえは知りすぎた……」
男か女か、若いか年を取っているかもわからない声だ。
「もしもし、どなたですか?」
受話器に話しかけてみた。
「知らずにいればいいものを、なぜ調べてまわるのだ……」

調べてまわる?
僕が、何を調べたっていうんだ?
僕がした取材といえば……。
「ひょっとして、学校の七不思議のことですか? でも、それがいったい……」

僕の言葉をさえぎって、重々しい宣告が下された。
「七不思議をすべて知った者には、死を! それが昔からのことわり」
同時に、ヒュッと風を切る音が聞こえた。

次の瞬間、耳に激痛が走った。
「うぐっ!?」
ビリビリッと、感電した時のようなしびれが走る。
受話器を放り出して、耳を押さえた。
熱い。
どろどろと、熱い液体が流れ出してくる。

血だ!
床に転がった受話器から、笑いを含んだ声が聞こえる。
「呪い針を打ち込んだ。脳にまで食い込み、絶対外れることのない針だ……」
呪い針?
激痛で視界がかすむ。

どうして僕が、こんな目に……?
僕の心の声が聞こえたように、声は再び笑った。
「いったはず、おまえは知りすぎた……生かしておくわけにはいかぬ」
たかが、学校の七不思議で!?
叫ぼうとしたけれど、もう声が出なかった。
知ってはいけないことだったんだろうか。

そういえば、受話器を通じて攻撃するなんて相手は普通の人間とも思えない。
頭の中で、どくどくと音がする。
僕の体から、血が流れ出る音だろうか。
目の前がぼうっとする。
もう、ちゃんと考えることもできない。

細田さんたちは、大丈夫なんだろうか?
そんなことを考えながら、僕は血だまりの中に倒れ込んだ。
七不思議には、もっと重要な意味が隠されていたのかもしれない。
でも、もう遅かった。
僕は、力なくまぶたを閉じた。


       (ドクロエンド)