学校であった怖い話
>七話目(岩下明美)
>E8

ほかの話?
……そうだな、お前バイオテクノロジーとかに興味あるか?
あと、細菌とか……。
まあ、俺たち高校生にはあんまり縁のない話だけどな。
今は、おもに農作物などの技術に応用されているんだ。
そうだな、もう畜産の分野にも広がってるかな?

俺も、あんまり詳しくないんだけどさ。
なんでも、ある生物の細胞の一つを取り出し、その細胞内の核をもとにいろいろな過程をへて、全く別の生物を作り出すという技術らしい。
生物はそれぞれ、種で増える、母親の体内から産まれ出る、細胞分裂をする、などの方法で増えるのが

普通だよな。

将来その技術が進んだら、いったいどうなると思う?
そして、その技術を極めようと……マスターしようとしている人もいるだろう。
その二つを考えると、俺はとても怖い考えにたどり着くんだ。
この世の、生きとし生けるものの自然の摂理は人間が壊すものじゃない。

実際、俺たちはこの世で生活していくのに困っていることなど一つもない。
考えてみろ、普通に生活していれば飢えで死んでしまうこともない。
まあ、これは日本に限ったことだが……。
これ以上、いろんなことをいじくりまわしてなんのためになる。
俺は、このままでも人間は充分に

幸せに暮らしていけるんだと思うな。

だがな、坂上。
人間、上を見たらきりがないんだよ。
悲しいかな、それ程人間は欲深いのさ。
白井も、そんな一人のような気がしてならない。
白井が、あの倉庫でなにをしているのかわからない。
なんでも、さっき俺が話した細菌

とバイオテクノロジーを研究課題にしているとかいう話だぜ。

科学準備室だ。
今は、誰もいない。
いるわけないよな。
……見ろよ。
あの扉だ。
あの扉の向こうに、新しい生命体がいるのさ。
ちょっと待ってろよ。
今、鍵を開けるからな。

……よし、開いた。
いいか、中に入るぞ。
凄い臭いだから、気をつけておけ。
……電源はどこにあるんだ?
普通、電気のスイッチなんて、ドアのとなりにあるもんだけどな。

おい、坂上。
お前も一緒に捜せ。
1.電源を捜す
2.ほかのことをする


◆最初の選択肢で「5.最後の残り物」を選んでいる場合
1.電源を捜す