学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>F7

そうか、残念だな。
あの絵に関して、一つだけ引っかかることがあったんだがな。
まあいいさ、後で俺一人で行ってみるから。
じゃあ、これで俺の話は終わるぜ。

新堂さんの話が終わった。
次を誰にしようかと思っているとき、部室のドアが開いた。

「こらお前ら、何やってる。もう下校時刻だぞ」
見回りの先生だ。
僕たちは追い立てられて部室を出た。
せっかくの企画だったけど、邪魔が入っちゃしょうがない。
次回に続きをやることにして、僕たちは解散した。

でも、みんなが帰った後も僕は残っていた。
新堂さんがいっていた、絵に関して気になることというのが気になったのだ。
新堂さんが気づいて、僕が気づかないことなんてあったんだろうか?

美術室のドアを開けると、絵はまだ同じ場所にあった。
そっと近づいてみる。
おかしなところを捜そうと、絵をのぞき込んだ瞬間。
絵の瞳が、ギラリと光った。
同時に手足がこわばる。
金縛りか!?

「やっぱり来たな、坂上」
背後で新堂さんの声がした。
「お前は好奇心が強そうだから、ああいっとけば、きっと来ると思っていたぜ」
新堂さんは僕の前に回り込んだ。

愛しそうに清水さんの絵を見上げる。
「彼女はこの中にいるんだ。でも、ときどき生気を補給しなくちゃいけなくってな。五人目になってもらうぜ。
…………俺の清水さんのために」
騙したのか!
そう叫ぼうとしたが、舌までしびれているのかピクリとも動かない。

その代わり、両腕が上がった。
いくら止めようとしても、意志とは無関係に僕の首に伸びる。

今までの四人は、自分で自分の首を絞めていたのだという。
あれは、こういう意味だったんだ!
自分の手に締め上げられ、僕の意識は薄れていく。
「死んだ瞬間の魂は、一番のエネルギーなんだそうだ。悪く思うなよ」

ゆっくりと倒れながら僕は、だんだん新堂さんの声が遠くなるのを聞いていた……。


そしてすべてが終った
              完