学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>M5

彼女の部屋には、描きかけのキャンバスが置いてあった。
俺は、悪臭の正体はそれじゃないかと思って鼻を近づけてみたんだ。
…………かすかに臭ったような気がした。
でも、よくわからなかったんだ。
油絵の具の、じっとりした灯油のような臭いが強くてさ。

その時部屋のドアが開いて、お盆を持った彼女が入ってきた。
だから、それっきり正体はわからなかった。
でも、あの臭いは忘れられないな。
今ならわかるけど、あれはなめし革のような臭いだったな。

そんなものが、なぜ彼女の部屋にあったのかわからないけどよ。
ときどき、彼女は黒魔術か何かやっていたんじゃないかと思ったりもするんだ。
死んだ四人も、黒魔術で殺されたんじゃないかってな。

魔女の呪いの解き方、誰か知ってるか?
……知ってるはずないか。
俺の話は無駄だったようだな。
ひょっとしたら彼女の呪いを解けるかもしれないと思ったんだけどよ。
まあ、しょうがないよな。

お前と俺と、どっちが先に死ぬか……それともいっしょかな。
なんにしても、お前も早く覚悟を決めることだな。
俺の話は終わりだぜ。
次は誰だ?


       (五話目に続く)