学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>R4

僕は、新堂さんが帰るのを見送った。
見てないものは見てないんだ。
勝手にいいがかりをつけて、怒って帰ってしまうなんて、ひどい人だ。
僕はあきれてしまった。

……でも、新堂さんが帰ったことでなんとなくしらけた空気が流れた。
これ以上話を続ける気にもなれなくて、結局僕たちは、そのままお開きにしてしまった。

部屋に帰ると、僕はベッドに寝っ転がった。
まったく、新堂さんのせいで、取材をしそこなってしまった。
近いうちにもう一度、みんなに集まってもらわなくては……。
そんなことを考えていたとき。
僕は、何か奇妙な視線を感じた。

何だろう?
僕は、起き上がって壁のポスターを見た。
…………目が合った。
僕を見ているのはポスターだった!!
いや、それはすでに、僕のポスターではなくなっていた。

正面向きのまま、目だけがギョロリとこっちを見ている。
この顔は…………。
僕は悲鳴をあげた。
この顔は、さっき美術室で見たばかりの。
恐怖で大声をあげ続ける僕の上に、顔がのしかかってきた。

目の前が真っ暗になる。
耳元に、なま暖かい息が吹きかけられた。
「さあ……あなたもいっしょに行くのよ」
これは、死んだ清水さんの声なんだろうか?

その途端、僕の両腕が上がった。
カラカラに渇いたのどを押さえつける。
そんな馬鹿な!
僕の腕が、僕を絞め殺そうとしている!?
だんだん気が遠くなる。

巨大化していく暗闇に身を任せた僕は、最期の瞬間に冷たくなった僕自身を見た。
その顔は、美術室で見た清水さんにそっくりだった………………。


そしてすべてが終った
              完