学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>D7
僕は、荒井さんの迫力に押されて、促されるようにうなずいた。
荒井さんは、満足そうだった。
「……今の体験を、僕が話そうとした七不思議の一つの代わりとして考えてもらっていいですよね?
あなたは、めったに体験できないことを体験したのですから」
僕は、黙ってうなずいた。
荒井さんは、何を見ているのか、うわの空で視線を空中に走らせていた。
「ああ……まだたくさんいる。いろいろなものが、まだまだいますね。彼らは、僕たちのことを狙っているんでしょうねえ。
ふふふ……このまま七不思議を続けていたら、僕たちといえど、無事に帰ることができるんでしょうかねえ」
そういうと、荒井さんは風間さんに目を向けた。
風間さんは、トロンとした目付きで、生気が感じられない。
荒井さんのいった通り、さっきの化け物が取りついてしまったんだろうか。
「さあ、坂上君。次の人の話を聞きましょうか。僕が話したのが五話目ですから、次が最後の話になりますね。どうも、七人目は現れそうにありませんから……」
確かにその通りだ。
こんな時間になってまで、七人目が現れないということは、もう来ることはないだろう。
あと、一人。
僕は残された一人に目を向けた。
最後の話を聞くために……。
(六話目に続く)