学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>E7

僕は首を横に振った。
見てしまったものがあまりにも怖くて、認めたくなかったのだ。
荒井さんが目を細めた。
「ああ、いけませんね。ヤツらは嘘が大嫌いなんです。ヤツらの前で嘘をつくなんて」

……耳元で、何かがきしむような音がした。
風の音、それとも鳴き声?
荒井さんはニヤッと笑った。
「ほら……怒って君に取りついた」
そのとき、耳元に生温い息を感じた。

僕の後ろになにかいる!!
僕は振り向いた。

そこには、得体の知れないものがいた。
ドクロのような顔の餓鬼。
風間さんの背中にいたヤツと同じだ!
……僕は悲鳴をあげたかもしれない。
その一瞬後、そいつは消えてしまった。
荒井さんが楽しそうに笑った。

「あーあ。だからいったじゃないですか。そうなってしまったら、もう誰にも引きはがせませんよ」
体がだるい。
これが取りつかれるって感覚なのか?
呆然とする僕には知らん顔で、荒井さんはみんなの方を見た。

「さあ、それじゃ次の方、話してください。
七人目は来ないし、六話目が最後かもしれません。怖いヤツをお願いしますよ……」


       (六話目に続く)