学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>F7

「嫌です。そんなあいまいな指示には従えませんよ」
僕はキッパリいった。
「そ……そんなこといわないで」
荒井さんの声が揺れた。
何かおかしいぞ。
僕はあくまでも突っぱねることにした。

「嫌といったら嫌です」
「駄目ですってば! ここは、はいといってもらわないと話が続かないんですよお」
とうとう、荒井さんは泣き声になった。
電気がついた。

「どういうことなんですか?」
荒井さんは泣きベソをかいていた。
「本当は、怖い話なんて思いつかなかったんです。だから、ちょっとしたトリックで脅かそうと思っていたのに……」

「先に僕がやってしまったものだから、カッとなったってわけだね」
したり顔で風間さんがうなずいた。
「そ……そうです。すいません」
しらけた空気が流れた。
でも、荒井さんはかわいそうなくらい、ちぢこまっている。
しょうがないか。
僕は助け船を出すことにした。

「じゃあ、これで一応五話目が終わったってことにしましょうよ。いいですよね?」
みんな、うなずいた。
さあ、それじゃあ六話目だ……。


       (六話目に続く)