学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>A4

「あははははははっ。あははははは。
はははは……」
僕は、笑ってごまかすことにした。
無表情な風間さんがこちらを見ている。
やばい、笑ってごまかす作戦は失敗したかもしれない。
でも、このまま後に引けないし。
よし、開き直るしかない。

「あははははははっ。あははははは。
はははは。あはあはあはあは。あははははっはっは……」
やばい、おかしくなって本当に笑ってしまった。
「あははははははっ。あははははは。
はははは。あはあはあはあは。あははははっはっは……」

と、止まらない。
だ、誰か止めて!
息ができないよ!
無表情だった風間さんが、にっこりと笑っていった。

「君、僕は感動しているよ。それは、僕に対してのボディランゲージだね。言葉では表現できないから体で表現してくれたんだ。ありがとう……。君の気持ちは十分にわかった」
えっ? えっ?
よかった。

よくわからないけど、なんとか二人の雰囲気はなごやかになったようだ。
「君の愛はしっかり僕が受けとめた。がっちりとね。僕も君の愛にこたえるよ!」
風間さんはそういうと、僕を抱きしめた。
「風間さん、な、なにをするんですか!」

僕は、いきなりな展開でかなりあせった。
「君、恥ずかしがらないでいいんだよ。君の愛の告白を受けた僕は、今、嬉しくてしかたないんだ」
風間さんが、わけのわからないことをいって僕を困らせようとしているんだ。

「スンバラリア星では、好きな人の前で大笑いすることが愛の告白と同じ意味だったよね。さっきの君の大笑いは……、ちょっと恥ずかしかったけど……、よかったよ」
風間さんが、上目づかいで僕を見る。
知らなかった……、スンバラリア星では、大笑いすることが愛の告白だったなんて。

そんなこと知っていたら、彼の前で大笑いなんかしなかったよぉ。
風間さんに、抱きしめられたまま僕はいった。
「でも、風間さんは男だし僕も男じゃないですか」

「ノープロブレムだよ、君。全然平気さ。スンバラリア星人に性別の国境はないんだ。要するに、性がないんだよ。やだなぁ、地球人の環境に慣れすぎてそんなことも忘れたのかい?」
か、風間さんそれは反則だー!
こんな展開になるなんて誰も思わない。

あの時、ちょっと大笑いしただけじゃないか。
そんなのって……、ない。
「さあ、僕たちの任務はちょっとひと休みだよ。スンバラリア星に帰って、結婚の儀式を始めないとね。スンバラリアの結婚式はすごいからね」

風間さんはニヤニヤしていった。
な、なにがすごいんだ!
ちょっと待ってくれー!
風間さんは、すごい力で抱きしめているので僕は身動きがとれない。

「さあ、我らが故郷スンバラリアへいざかえらん!!」
そして、風間さん……、いや、スンバラリア星人はワッペンのような物を取り出すと片手をあげた。

一瞬、空が光った。
まばゆい光に包まれて、僕はまだ見ぬ星へと旅立つ……。
お父さん、お母さん親不孝な僕を許してください。


       (新聞部エンド)