学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>B6

うまく行けば、うまく行くかもしれない。
「僕の本当の名前はね、HFGJALAMJKVWWOWOなんだよ。
わかったかい」
僕は、できるだけ自然に話した。
風間さんは、えらく驚いているらしい。

開けた口をぱくぱくさせている。
「ま、まさか。あいつがここにいるなんて……。あの、宇宙史上最強の殺し屋といわれた彼が……」
なんか、うまい具合に話が進んでいるらしい。

ふーん、僕は宇宙最強の殺し屋なんだ。
でたらめでもいいから、いってみるものだなぁ。
「そうさ、僕は金次第で雇われる殺し屋さ。
金をもらう限りは、依頼されたターゲットを必ず殺す!!」

僕はそういって、人差し指を風間さんに向けた。
「ヒッ、ヒィー!!」
風間さんは、部室の隅で震えている。
ちょっと、やりすぎかもしれない。

でも、そんなにその殺し屋というのは有名なんだろうか。
ちょっと、気になる。
僕は、震えてしゃがんでいる彼を見下ろしていった。

「スンバラリア星人よ、悪いことはいわない。
早く地球から出てゆくのだ。お前に恨みはないが、依頼主の命令でこの地球にいる異星人を始末するようにいわれたのでね。

依頼主?この地球のやつさ。お前たちの地球侵略は、しっかりばれているようだぞ。間抜けだな。なにもいわずに地球から出ていくのなら手出しはしない」

風間さんは震えながら、胸の校章をもぎ取った。
「う、うそだ、きさまそんなことをいっても僕を殺すんだろう。僕は、ただでは死なんぞ。きさまに殺されるくらいなら、……こうだっ!!」
そして、風間さんは自分の奥歯で校章を思いっきりかみ砕いた。

一瞬、ものすごい閃光が走る。
僕は目を開けることが出来なかった。
体を床に伏せ、顔を手でおおった。
やっと光も収まり、僕は薄目を開けてみた。

見ると、そこには風間さんの姿はなかった。
いったいなにが起こったのか、僕は理解できない。
……あの閃光はなんだというんだ。
さっきまで一緒だった、風間さんがいないということは……。
……まさか、自爆したのでは!?

要するに、あれは夢だったかもしれないし、僕がスンバラリア星人だった風間さんを倒したのかもしれないということか?
僕は起きあがると、辺りをもう一度良く見渡した。

そして、僕は足元を見た。
「!?」
そこには、僕が倒れていた。
今、ここに立っている僕は……、もうこの世のものではないのか?

僕は、今の自分と倒れている自分を見て、初めて思った。
風間さんは……、いや、スンバラリア星人は、僕を道連れにしたんだと。
宇宙最強の殺し屋の僕を……。


       (ドクロエンド)