学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>D6

ここは、とりあえず話をごまかさなければ。
さあ、どうやってごまかしたらいいんだ。
「うーん、ううーーーーん」
僕は思わず声が出てしまった。
「どうしたんだい? 坂上君。大丈夫かい」
風間さんは、心配そうに僕をのぞきこんだ。

そうだ、仮病を使えばいいんだ。
「ちょっとお腹が痛いんです。僕はもうこれで帰って寝ますから。心配しないでください」
僕は側にある鞄をつかんだ。

「ダメだよ。今動いたら……。じっとしていてよ」
彼はそういうと、僕の腕をぐっとつかんだ。
そして彼は僕のお腹に手を当て、まさぐり始めた。
僕は叫んだ。
「風間さん、やめてください。くすぐったいですよ!!」

なんと、風間さんは僕のお腹の中に手を突っ込んでいた。
腹の中を、ぐちゃぐちゃとかき回している。
不思議と痛みは感じない。
でも、あまり気持ちいいものではない。

「か、風間さん。心霊治療じゃないんですから。あまり、気持ち悪いことはしないでください。お願いしますよ」
僕は、半泣きで彼に訴えた。

痛くない腹を探られるっていうのは、こういうことかもしれない。
やっぱりこんな事ができるなんて、風間さんは宇宙人だったんだ。

「さ、大丈夫だよ。後でちょっと治療の後遺症が出るかもしれないけどね。それで、お腹を探っていてわかったんだけど、君は地球人だったんだね。ごめん、ごめん。僕は、早とちりが多くてね。いつも失敗するんだ。君を勝手にスンバラリア星人だって決めつけてごめんよ」
妙に彼は優しい。

「僕たちが地球侵略を考えたのは、君たち地球人がいい食料になると思ったからなんだよ。しかし、君の腹を探っていてわかったんだ。僕たちスンバラリア星人が、君たち地球人を食べると中毒を起こすことがね。僕の右手人差し指に埋め込まれたチェッカーが中毒反応を示したよ」
風間さんは僕にいった。

え、食料だって?
彼らは、僕たちを食料として考えていたなんて……。
支配するならともかく、食料とは……。
でも、なにかしらないけど僕たち地球人は助かったんだ!!

「君たちは本当に運がよかったよ。
僕はまた、食料となる生物を探して旅立たなくてはならない」
風間さん……、いや、スンバラリア星人は、ワッペンのような物を取り出すと片手をあげた。

一瞬、空が光った。
そのまぶしさに目を閉じた。
外はもう暗かったので、昼間のように辺りが明るくなる。
その明かりはすぐに消えて、またもとの暗闇が戻ってきた。

僕は、そっとまぶたを開いた。
そして、もうそこにはスンバラリア星人の姿はなかった。
そして、僕は体の変化に気がついた。
口から、触手のようなものがにょろりと出ていた。
その触手は僕の唇をなめるようにうごめいている。

これが、さっきスンバラリア星人がいっていた治療の後遺症ってやつかもしれない。
まあ、いいや。
なんにせよ、地球の危機は救われたんだから。


       (新聞部エンド)