学校であった怖い話
>七話目(岩下・福沢)
>E7

僕は、ここで一芝居打つことに決めた。
「うん、うん。そうだよ。その通り。よくわかったね。君も僕の正体を見破るなんて、なかなかのもんだ。よかったら、君も僕の手伝いをしてくれるかい? それでね、その特別命令とは……、スンバラリア星人地球撤退なんだよ。

実はね、この惑星は僕たちが住めない環境に変わりつつあるということが判明したんだよ。その第一がオゾン層の破壊さ」
風間さんもうなづいていった。

「そう、そう。僕たちスンバラリア星人は、お肌がとーってもデリケート。紫外線が多くなると、すぐに皮膚細胞が破壊されちゃうんだよね。そうか、地球がそんなに危ない状態だなんてしらなかったよ。わかった、今すぐ地球上のスンバラリア星人の撤退をはかろう」

風間さん……、いや、スンバラリア星人は、ワッペンのような物を取り出すと片手をあげた。

一瞬、空が光った。
僕はそのまぶしさに目を閉じた。
外はもう暗かったので、昼間のように辺りが明るくなっているだろう。
その明かりはすぐに消えて、またもとの夕闇が戻ってきた。

僕はそっとまぶたを開いた。
もう、そこにはスンバラリア星人の姿はなかった。
今頃、スンバラリア星人の同胞を避難させるべく、前・風間さんは東奔西走しているのだろう。
取りあえず、逃げるが勝ちだ。

僕は鞄をつかむと、夜の廊下を疾風のように走った。
そうさ、あれは悪い夢だったんだ。
そう、自分にいいきかせて……。


       (新聞部エンド)